山形の設計事務所「廣設計室」

  〜中村廣のちょっとお役立ちコラム〜 【バックナンバー】
 
エコロジーと住宅 3.断熱と気密の関係
 
A.高断熱・高気密工法の歩み
昭和48年のオイルショックで省エネルギーの思考は、日本にも芽生えてきました。昭和58年の第二次オイルショックからはほとんどの住宅でアルミサッシに加え、グラスウールのビニールでパックされた100m/mの断熱材を外壁・天井に入れるようになりました。その結果暖かくはなりましたが、気象条件の厳しい北海道では壁内結露が発生してしまい木材を腐らせてしまい、数年でキノコが生えてきたり、床が抜け落ちてしまう状況までなってしまいました。それらの現象と同時に、白アリの被害も急増してきました。こんな失敗を教訓に北海道では高断熱・高気密工法の研究が盛んになってきたのです。
 
B.高断熱・高気密工法の歩み
図1は、昭和54年の第二次オイルショックより普及した断熱工法です。外壁・2階天井・1階床下にグラスウールが入ってはいるものの、床〜壁〜天井の取り合いは隙間だらけで気流が発生していました。この気流が、寒さ・結露の原因でした。図2は、改良された屋根断熱。図3は、改良された天井断熱。改良された2つの工法は、いずれも土台−柱−桁の隙間をなくし気流を止めたものです。その結果、壁内の空気は動かなくなり、内部結露もなくなり、熱損失も少なくなりました。グラスウールは断熱補助材であり、空気が断熱主材である。つまり、空気が移動しない条件をつくることが高断熱・高気密工法の最低ラインであることがわかりました。そのためには、グラスウールの外側には防風・防湿シート(赤ちゃんのオムツの素材、もれない・むれない)、内側には防湿シートを貼り、グラスウールを湿らせない・空気が動かない環境をつくることである。
 
 
 
断熱と気密は切っても切れない関係にあり、両方とも大事にしないと暖かい住宅はできない。よく『断熱は必要だけど、高気密は息苦しいから必要ない』という話を聞くが、まったくすじの通らない話である。
 
C.Q値(熱損失係数)とC値(隙間相当面積)の関係
Q値は、壁・屋根などの各部位の面積に熱還流率を掛けた数字の累計で、数字の少ない方が理論的には暖かい住宅です。Q値は計算上だせますが、実際現場で施工された住宅の実測値を求めることはできない。現場で、断熱材が隙間なく入っているかが極めて重要になります。C値は、いかに気密性よく施工しているか現場で測定してでてくる数字です。C値はQ値と違いシュミレーションで細かい数値を求めることができない。2.0とか、アバウトな数字しかない。C値はQ値同様少ない数字が高性能。Q値は断熱性をシュミレーションで、C値は気密性を現場で求める数字であり暖かい住宅をつくるには、両方必要になる。
 
D.義務付けられた換気設備と気密性
昨年の7月より24時間換気が義務付けられました。24時間排気し続ければ気密性の悪い住宅は当然寒くなります。隙間風の給気は人体に不快感を与えます。いくらストーブを強く燃やしても頭は熱く、足元は冷たい状況がそれです。給気口と排気口の位置のバランスこそ暖かい住宅に必要な計画といえます。
 
 
 
 
 
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