山形の設計事務所「廣設計室」

  〜中村廣のちょっとお役立ちコラム〜
 
エコロジーと住宅 6.暖房と蓄熱の関係
 
暖房については、対流熱・伝導熱・輻射熱の3つがあることを前回話しました。今回は、快適な暖房と蓄熱の関係についての話です。
 
A.「蓄熱」とは
 
文字の通り物体(床下、床、壁、天井などの場所)に熱(暖房熱・太陽熱)を蓄えることです。各場所に熱を蓄える。そして、その熱を自然放射熱で建物全体を暖めるやり方が蓄熱暖房である。
  FF式石油ヒーターは強制的に風を起こして暖房する方式で対流熱を利用している。しかし、蓄熱はしていないのです。
  深夜電力を利用する暖房方式は、蓄熱の性格をうまく使っているといえる。電気蓄熱暖房器、電気蓄熱床暖房(シーズヒーター)は代表例といえる。
 
B.蓄熱の効果
 
1.暖房熱の高効率利用
 例えば自動車の場合、市街地の道を信号待ちで停車・発進を繰返すのと、田舎の道を時速60kmで安全走行するのとでは、後者の方がガソリンの消費量が少なくて済むのはいうまでもない。これと同様に暖房の場合も同じで、石油ボイラーのように点火と消火を繰返すより、長時間少しのエネルギーで暖房する方が浪費も少なく省エネといえる。
 
2.無駄な放熱を防ぐ
 空気を暖める方式は、必要以上に無駄なエネルギーを放熱してしまいます。これに対し蓄熱方式は、一日分の必要な熱量を蓄熱し自然に放熱させるので無駄がない。
 
3.格安な深夜電力の利用
 蓄熱することが可能となると蓄熱する時間帯はいつでも良い。むしろ活動する日中に放熱し、深夜に蓄熱する方が望ましい。深夜時間の電気は1/4と安く、低ランニングコストが可能となる。
 
4.自然放射による暖房
 気流が起きない。蓄熱する面積が広く大きいほど低温でありながら、自然に近い快適な環境となる(ほてりがない)。しかも、適度な湿度を保つ。
 
C.快適な温度と湿度の関係
 
1.快適な温度
 室温が25℃、床・壁・天井が15℃とすると寒さを感じる、ちょうどトンネルの中に入った時に感じるひんやり感である。反対に、床・壁・天井が25℃で室温が15℃とすると暑く感じる。快適な状態は、床・壁が22℃位で室温が18〜20℃位である。人体が、快適と感じるのは室温だけではなく床・壁・天井からの輻射熱も非常に大事である。
 
2.快適な湿度
 快適な湿度を保つ条件として、絶対湿度でおよそ1kgの空気中に水蒸気が5〜7.3kg程含まれているのが理想的といわれている。これを相対湿度でいうと、室温18℃の時、39〜57.5%位。室温が20℃の時、35〜50%位が快適な湿度である。湿度がこれ以上になると窓面や暖房のない部屋では、温度が少し下がると結露しやすい。
 
D.理想的な暖房方式とは
 
1つ目は、構造が高断熱・高気密で建物内に気流が発生しないことがまず必要である。
 
2つ目は、暖房エネルギーを広い面積に低温で蓄熱することである。電気蓄熱暖房器は小さいパッケージの中のレンガに何百度という高温で蓄熱する方法で、電気蓄熱床下暖房(シーズヒーター)は、床下全面に35℃前後の低温で蓄熱する方法である。これは、韓国のオンドルの原理を利用した利にかなっている暖房方式といえる。
 
3つ目は、長い時間少ないエネルギーでゆっくり暖房する。
 
以上の3点が理想的な暖房方式の条件である。
 
暖房に関して、ユーザーは知識を豊富に持っていると思う。しかし、蓄熱の知識はどうだろうか?例えば、シーズヒーターを使用せず石油のパネルヒーターなどでも土間コンクリート・砂利に蓄熱できる。蓄熱することにより、暖房効果は倍増するはずである。
 
 
 
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