山形の設計事務所「廣設計室」

  〜中村廣のちょっとお役立ちコラム〜
 
エコロジーと住宅 10.木材
 
今まで自然素材を多用した方が、人・住宅のために良いと述べてきました。具体的にどのような特性をもっているのかを今回は木材について。
 
A.耐久性
 
 法隆寺は、711年に建てられた世界最古の木造建築です。その他、何百年と建っている木造建築物は世界中にたくさん残っています。
  老化・風化の面から診たデータによると、木材は100年で3_程度薄くなり、鉄は100年で0.05_錆びる(木材・鉄材共に、外部に使用した場合)ことがわかっています。木材と鉄材の利用方法からみて、木材は厚く、鉄材は薄く使用するので、木材の方が耐久性に勝ることになります。
  長持ちさせるにはしっかりとした高断熱・高気密工法、もしくは、断熱材を使わない・サッシを使わないスカスカの住宅に変える必要があります。
  もう一つは、使い捨ての思想を改め、時代の流れに対応できるフレキシブルな設計にし、愛着を持って住宅と年を重ねる必要があります。
 
B.保温性
 
木材は熱伝導率が低いため、人が持っている温度からあまり変化せず調度いい温度になります。サウナの内壁は、木の板材で造られますが高温の割には長時間耐えるに適温だから使っているのです。
 
※熱伝導率
木材(杉) :0.07Kcal/m・h・℃
コンクリート:1.4Kcal/m・h・℃
アルミ:175Kcal/m・h・℃
 
 サッシがアルミの場合、結露を起すのは熱伝導率が高い為です。最近では、結露を抑える為、外側をアルミ・内側にプラスチックの複合サッシが出てきました。
  冬、床仕上げ材によって足の感じ方も違ってきます。コンクリートの場合は冷たく感じ、(逆に、床暖房の場合は一番暖かく感じます。)一方フローリングの場合、初めは冷たく感じますが、段々と適温に近くなります。夏の場合、カーペットは暑く感じビニールシートは冷たく感じます。フローリングは適温となります。木材は無数の空隙があるので天然の保湿材となっています。そのため、人に優しく感じるのかもしれません。
 
C.地球温暖化防止
 
 高断熱・高気密住宅は地球温暖化防止策の一つとして、消費エネルギーを少なくする目的が大きいのです。同様に木材を多用することも同じ目的を持っています。地球温暖化の最大の原因は、炭酸ガスの放出です。炭酸ガスはエネルギーを使うと発生します。
  例えば、電気を起すために重油を燃やして発電します。輸送のために自動車の燃料としてガソリンを使います。それに、建築材料を製造するために多大なエネルギーを使い、その結果、炭酸ガスを放出しています。建築材料を造る為のエネルギーは、住宅が完成し生活する為のエネルギーに近いほどです。
  鉄は木材の3.5倍、プラスチックで44倍、アルミニュームで146倍放出していることから、木造住宅は、鉄骨造住宅より社会(環境)に貢献しているのがわかると思います。木材は、立木の状態で炭酸ガスを吸収し、伐採して住宅に使うとしても製材する際に消費されるエネルギーはわずかです。
  伐採した跡に植林すれば多くの炭酸ガスを吸収し、酸素を放出します。石油はあと数十年、百数十年で底をついてしまいます。木材は再生産出来る素晴らしい資源です。地球温暖化防止策以外に、洪水防止・砂漠化防止等、木材(森林)は役立っています。人は地球を守るため、『木』と共存共栄しなければならない運命にあるのです。
 
D.その他の特性
 
(1)木材は湿度を調節してくれます。木材は気乾状態(含水率15%)で安定します。15%を保とうとするため、室内の湿度が高くなると水分を取込み、室内が乾燥してくると取込んだ水分を放出して湿度を調節するのです。塗り壁にも同様の効果があります。
 
(2)木材は、熱伝導率が低いため断熱性能が良いのです。壁にグラスウールを入れても、柱・梁の断面部分にグラスウールは入らない。しかし、断熱性能が良いため、さほど断熱欠損にはならないことがわかっています。鉄骨造の場合は全く違います。柱間のグラスウールは同じですが、柱の外側の冷気を内側まで通してしまう(ヒートブリッジ)現象が起こります。鉄骨造やRC造こそボード状の外張り断熱材でなければならないはずです。
 
(3)床に木材を使うと調度いいクッション性があります。コンクリートの床は、硬すぎて足が疲れます。カーペットは反対に、柔らかすぎるのです。体育館の床がフローリングなのは、足にとって最も適度なクッション性があり、疲れにくいためです。
 
(4)木材は、人に有害な波長の短い紫外線を吸収し、波長の長い赤外線を反射します。野外のデッキはその点、非常に有効です。
 
(5)木材は無数の空隙があり、そう硬くはないため、適度な音の吸収と反響があります。コンサートホールに利用されているのはその利点を生かすためです。また、楽器に木を良く使っていますが振動効果が良いからだと思います。
 
(6)カーペットからフローリングに変えるとダニが減るというデータがあります。材種によって様々な抗菌・殺菌効果があることは昔から認められています。反対に、神経を和ませる効果もあります。森林浴はその作用ではと思います。
 
(7)コンクリート・プラスチック・ラミネートシート(印刷した木板のシート)に比べ、人の感性に合います。自然素材の風合いがあり、心が和むはずです。
 
(8)マウスの実験ですが、コンクリート・プラスチックのハウスより、木のハウスの方が圧倒的に長生きするという結果が出ています。(1)〜(7)までの特性が総合的に作用するからと思われます。人にとっても同じではないでしょうか。
 
結果的に、人は自然と共存共栄しなければならない。住宅も自然素材を多用した方が良いということになります。
 
O邸:室内写真 (台所より食堂・居間、和室を観る)
 
 
 
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