山形の設計事務所「廣設計室」

  〜中村廣のちょっとお役立ちコラム〜
 
エコロジーと住宅 14.家を建てる際、考えたい事
 
A.家は車のように既製品でよいのか?
 
ハウスメーカーがシュアを広げて同じような家が多くなってきました。昔は大工さんがこだわりを持ち一軒一軒大事に仕上げたものです。そして、施主が大事に何十年も愛着心を持って使いました。街並みがそろい、日本らしい風景がどの町にもみられました。しかし、最近はどうでしょう?家にまで名前がつけられています。既製品の住宅を建てることにステータスを感じるのでしょうか?既製品の家に住むということは、使う人が家にあわせて生活しているのでしょうか?疑問はたくさんあります。高いお金を払い既製品の住宅に住みたがる人の気持ちがわかりません。昔は近くの山から杉の木を伐採し乾燥させ、大工さんが建て造作し、近くの山から取ってきた土で左官屋さんが壁を塗り、建具屋さんがオリジナルの建具を取付け、最後に塗装屋さんが自然の中でつくられた塗料を塗ったものです。全て自然の材料でつくったものです。現在、全てを自然の材料で作ることは当然無理ですが、少しでも取入れることにより、文化を守ることもできます。ちょっとおおげさですが…。しかもシックハウスの原因も減るし、心も癒されるはずです。住宅はクレーム産業と言われています。自然素材を多く使えば材木は割れ・狂い、壁は割れ・縮む。当然クレームは多くなります。しかし、建物は生物なのだから少々目をつぶってもよいのでは。ハウスメーカーだけでなく工務店まで、ほとんどの業者が既製品の木製品建具を使いクレームをなくして、考えることを省いています。外観は少々違っても室内に入るとどこの家も同じ様に見えます。たしかに工場製作の建具のほうが精度も良く、クレームは少ないと思います。しかし、ラミネート紙の既製品建具は風合いがあるのでしょうか?大工さんをはじめ、職人の匠の技でつくられた住宅こそ心を癒してくれるのではないでしょうか。
 
B.美しい住宅ときれいな住宅の違い
 
最近の住宅は、室内同様外観も多種多様なサイディングが張られきれいに見えます。昔のものに比べ、塗装の性能は数段優れていると思いますが、化粧をしているからこそ紫外線・ゴミ・粉塵にさらされ、10年ぐらいたつと汚くなってきます。目地のコーキングも劣化してきます。それに比べ昔からある木材・漆くいなどの塗り壁は風合いを増してきます。「木は、すぐ汚れるから外に使いたくない。」とよく聞きます。しかし、何百年もたつ社寺仏閣の場合は違う見方をするのはなぜでしょう。木材・塗壁のメンテナンスは必要です、メンテナンスをすればするほど美しくなります。一方、きれいだったサイディングはメンテナンスをすればするほど、厚化粧になってきます。最近の建材の中にはガルバリューム鋼板・アルミ等の素地をみせるものが出まわっています。化粧していないぶん汚れにくく、メンテナンスも楽。近代的な表情をしていますが不思議と木材・塗壁との相性が良いと感じます。
 
C.外観は街の共有財産
 
ヨーロッパの街をみると統一感があり、絵になります。南ヨーロッパは白壁と赤いカワラ屋根が美しい。各国が伝統を護っています。景観条例で定めている国もあるだろう、しかし、個人個人で伝統を守る心構えがしっかりしている事も大きな要因の一つであると思います。さて、日本はどうでしょう?京都のような伝統ある都市の一部で古い街並みを保存している程度です。新しく建てる建物を規制している市町村はほとんどありません。山形県内では金山町が景観条例をつくり、25年という時間をかけゆっくりと街並みが美しく変わってきています。残念なことに、最近はきれいなサイディングの住宅が建ってきているようです。景観緑法が平成16年6月11日成立しましたが、残念なことに具体的なことが全然わかりません。 「国、市町村、住民、事業者が一体となって良好な景観をつくり、護る、国民共通の資産にする」というのが基本理念のようです。一部の景観地区、景観重要公共施設、景観重要樹木などを設けようとしているが街全体を創り出そうとはしていません。街並みを創り出すことは、市町村が主導権をにぎらないと難しい問題かもしれませんが、個人個人が頭のすみに置いておく必要があると思います。長野県の小布施という小さな町があります。美しい街並みを住民全員で創りだし観光客が増え、脚光をあびている町です。
金山町 金山町
鯉の泳ぐ大堰 うつくしい街並み
 
D.外部空間と内部空間のつながり
 
昔は家の南面に何枚もの障子戸、ガラス戸があり戸袋に収めると縁側と外は一体となりました。天気の良い日はひなたぼっこをしたものです。昔の人の知恵はすばらしく、軒の出を長くすることで冬は奥まで日射を取り入れ、夏は日射を遮り風通しはどこの部屋もよかった。しかし、冬は寒く北日本の住宅では大変でした。最近あまりみなくなってきました。だが断熱・気密の技術が優れてきたので南面に大きなガラス面を設け、太陽の力で暖かい住宅にすることが可能になってきました。パッシブソーラーと呼んで大げさな設備を設けず暖房できる。自然の恵みはできる限り利用した方が安いし、心地良く、二酸化炭素も減り地球に優しい。それに加え人は自然に近い環境で生活したほうが癒されるはずです。経済的、地震に対する構造的、プライベート的な問題があり全面をガラスにするわけにはいかないのですがもっともっと大きくできるはずです。壁の中に最小限の窓をとるのと、ガラス面に必要な壁を設けるのでは全く室内環境は変わってきます。
 
 
 
 
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