山形の設計事務所「廣設計室」

  〜中村廣のちょっとお役立ちコラム〜
 
エコロジーと住宅 15.家を建てる際、考えたい事(2)
 
前回に続き家を建てるとき、施主として考える必要がある事を書いてみたいと思います。前回は私が設計する時、常に考えている事でしたが、今回は施主が十分検討しないと失敗してしまう事です。
 
A.住宅に対する考えがはっきりしているか?
 
 「こだわりの家づくり」という言葉はよく耳にすると思います。施主がどんな家を建てたいのか、理念というか、思想というか、とにかくはっきりしていないと良い家は建ちません。最も大切なことです。
  前回、車と住宅の話をしましたが、車は綿密な企画・設計にもとづいて製作しますから失敗はありません。しかし住宅は1軒1軒違います。なのに、設計をろくに考えないで建てるということは失敗の原因ではないのでしょうか
   自分の考え=設計が完全であってはじめて理想の住宅が出来上がるはずです。私の場合設計図を創るということは、
  (1)施主に建てる前に想像・納得してもらうため
  (2)施工者が間違いなく施工するため
  (3)自分が空間のバランスをチェックするため
の3つの役割があります。
 施主が設計能力をもっていれば問題はありません。しかし持っていないのが普通かもしれません。納得できるまで施工者に説明してもらう、このへんが難しいのです。設計図をもとに説明をしてもらえば理解度はずっとアップするはずだと思います。
  反対にモデルハウス・内覧会を多く見すぎてしまい、知識が豊富になりすぎて何が正しいのか、自分はどんな家がほしいのかわからなくなってしまった人が、最近事務所に見えられることがあります。
  例えば外断熱と内断熱の比較はほとんどの人が知っています。外断熱と内断熱の住宅各々の内覧会に行って長所だけを聞かされ、どっちが正しいのかわからない。公正な資料によって長所・短所を整理する必要があると思います。
  一生に一度の家を建てるとなるとおのずと要望が多くなっていきます。でも要望を全部いれるとバカ高くなって頭をかかえる人がいます。優先順位をつけてあきらめるものはあきらめる勇気が必要です。私なら構造体に関しては一歩も譲れません、最近地震が多いので当然ではないでしょうか。しかし、過大な装置は不要です。
  断熱・気密に関しても同様の意見です。暖かくならない家は簡単に暖かく直すことはできません。断熱リフォームするには莫大な出費となります。建物の傷みが早く寿命が短くなります。高断熱・高気密にすると息苦しいなどという話を聞きますが時代遅れだと思います。国策でもあるのだから。
  システムキッチン・ユニットバスなどの住宅設備機器はどうでしょうか?女性は特に多機能で高価なものを欲しがります。しかし予算オーバーした場合、少し機能をおとすとかグレードをさげるとかがまんすべきではないのでしょうか?なぜなら簡単に交換できるのだから。また、複雑な機能を持つ機器は便利かもしれません。しかし、複雑なものこそ壊れやすいのです。不要な性能をなくせば長持ちします。ボイラーなどは平均寿命が7年位しかないことを頭にいれておくことも必要です。
  内装材もきれいな材料を使うのか、健康に気を使うのか分かれるところです。きれいな人工素材は一般にF☆☆☆☆(F4スター)はシックハウス対策をしているといいますが万全ではありません。健康のためを考える、癒しを求めるなら自然素材を多用すべきではないでしょうか?しかし、自然素材のほうが一般には高価なため、適材適所といきたいところです。
  最近、設計の依頼を受けている施主の子供の半数以上がアトピーであるように子供の体質が変わってきているような気がします。
  外装材はきれいな化粧をした石目・タイル柄のサイディングのようなコピー品が目立ちます。きれいな化粧をしたサイディングは年を経るとだんだんきたなくなり、メンテナンスが必要になってきます。
  最近では、ガルバリューム素地鋼板のようなシンプルな外装材も少し使われています、メンテナンスがかからない材料です。昔からあるモルタル等の塗り壁は年を経るごとに風合いを増していきます。メンテナンス・風合いを考えて選択したいところです。
 
自然の恵みを活用した家

金山杉と珪藻土の白壁の組み合わせが美しい。

(山形家づくりの本2005より)
 
B.主と施工業者の関係
 
 置賜地方では、今も大工様と呼んで尊敬しています。住宅を建てるときは仲良く立派なものを建ててほしいという表れではないでしょうか?しかし、一般的にはどうでしょう、多くの施工業者と交渉して納得のいかないまま契約をしてギクシャクした状態で着工、不満の残るまま完成するケースが多くないでしょうか?せめて契約してからは心を入れ替えて施工業者と仲良く、気持ちよく造ってもらったほうが得なはずです。
  車は既製品なので出来不出来はありませんが、住宅は手造りなので技術面より心理的なほうが出来栄えに影響してきます。住宅産業はクレーム産業であるともいわれています。最高の出来栄えで100点、普通はそこまでは行きません。そう思うべきでありますし、不可能であると思います。しかし、気持ちよく働いてもらうことにより点数は上がるはずです。また不仲の状態で引渡しを受けると引渡し後のメンテナンスが悪くなり、踏んだりけったりの状況になってしまいます。
 
 
 
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