山形の設計事務所「廣設計室」

  〜中村廣のちょっとお役立ちコラム〜
 
エコロジーと住宅 31.私が考えるエコロジーとは
 
中村が考えるエコロジーとはどんなことなのか。
辞書で「エコロジー」を調べると「生態学・社会生態学」としかわかりませんでした、これまた??
 
A.家の歴史
 原始時代、家は洞穴でした。それ以後、雨風をしのぐため屋根を架け、寒さを防ぐため壁を設けました。時代が変わっても家を造られる素材は、ほとんどが自然素材から成り立っていました。近代化することに伴い建築材料は鉄やコンクリート、硝子という材料が家にとって無くてはならない材料になり普及していきました。さらに、昭和30年代に入ると塗壁に変わるボード類が普及し省力化されました。人は生きるために「衣食住」が不可欠ですが、時代が進むにつれ「住」の役割は大きくなっていきました。
 
B.利便性
昔は雨風をしのぐだけだった家が、最近は「冬、暖かく。夏、涼しく」という快適な家が求められるように変わってきました。間取りも、食と寝をはっきり分離し機能的になりました。しかし、利便性を求めるあまり“家の原点”を忘れていないでしょうか?昔の農家に見られた田の字型の間取りでタタミの部屋は、洋間に比べ多目的に使えていました。用途はその都度決めればいい。冬は障子戸を引込むと奥まで日が差込む広縁等、昔の人の知恵がありました。用途を決めて個室化するのを悪いといいませんが、ライフスタイルに合わせフレキシブルに対応できることも必要ではないでしょうか。最近は、多機能な住設機器が多くなりました。人は生活するのに少々不便なところがあっても良いのではないでしょうか?使い方を工夫することで脳は退化しないはず、かなり大袈裟かもしれませんが…例えば、音声の説明が付いている給湯器は代表的なものといえます。多機能になればなるほど故障しやすいものです。
 
C.進化する建材
昔は土・紙・木の自然素材のみで家が造られていて、昭和30年以降にパネル化(ボード化)が進みました。新建材と呼ばれるボード類は、ほとんどが石油化学製品です。ボード化することで工期が大幅に短縮されました。また、この頃から住宅金融公庫の融資で住宅建設が可能になり住宅着工件数が増えました。しかし、石油化学商品の建材が増えるにつれシックハウス問題がクローズアップされるようにもなりました。それは、塗壁が石膏ボードに替わり、その上にクロスを貼るようになったこと。また、合板に印刷された木目のプリント合板と呼ばれるものも普及したこと、現在はプリント合板に飽きたらしく使われなくなりました。そして、建具が既製品化されたこと。この建具は、印刷された木目調のシートを貼って出来ています。昔でいうプリント合板です。多くのユーザーは、木目が見えるものは全て木材であり自然素材と思っている?のかも知れない。が、それは大きな間違いといえます。この建具に貼っているシートは、ラミネートシートと呼ばれていてシックハウスの最大の敵と言えるでしょう。新築の家には既製品建具・新品の家具が多く、家に入るとすぐ臭いがしたり目が痛くなったりします。2〜3年前よりシックハウス対策の建築基準法が追加されましたが、最低の基準を決めたものでした。また、塗料にも同じことがいえます。石油系の塗料は塗りたてが臭く、すぐには入居できない。それに比べ植物油系の塗料はほとんど臭いがなく、人に無害です。新建材は、ほとんどが石油化学製品でつくられています。エコロジーを考えるならば、少し考え直してはどうでしょうか。かといって、石油化学製品を全く使わないで家は建ちません。電線・排水管等は必需品です。その反面、床・壁・天井の内装材に自然素材を使うことは十分可能で、環境に大きな効果を発揮するはずです。
 
 
 
D.家を育てる
欧米において住宅の寿命は、日本に比べ格段に長いことがわかっています。アメリカで44年、イギリスで75年、それに比べ日本は26年と非常に短くなっています。その原因は、性能的に劣ることもあります。それともう一つ、日本は家の修繕をしないお国柄。新築時が一番きれいで、時間が経つほど汚くなることがあげられます。欧米では、施主が愛情を込めペンキを塗ったり簡単な修繕をしてうつくしさを保つ努力をしています。何よりも“家を育てる”という習慣があるのです。日本の場合、予算が少なくても家を100%完成させる施主がほとんどです。結果的に、構造・断熱・気密をおろそかの状態で数年後リフォームすることになり、非常に大きな費用が掛かってしまうことになるのです。平均寿命が26年の日本では、人生に2回家を建てる計算になります。アメリカでは1回、イギリスではリフォームで間に合うことになります。日本では中古住宅の価格(価値)が10年も経つとただ同然になりますが、欧米では極端に下がりません。むしろ新築時より高く売れる家もあるといいます。この差は何でしょう?“家を育てる”という考えなのか「使い捨て」という考えなのか、考え方の違いとしか思えない。日本も欧米の考え方に見習わなくてはならない時代に入っています。なぜなら、所得は伸びず解体費は年々上がりそう簡単に家を建てることが出来なくなります。日本の家も「受け継がれる家」になると価値は変わるはず。家が「中古住宅」になり、ただ同然では困るのではないでしょうか。
 
 
 
 
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