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〜中村廣のちょっとお役立ちコラム〜
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エコロジーと住宅
40.私が考えるエコロジーとは(10)
A.壁の中の「結露」という恐ろしさ
前回書きました雨漏り以上に恐ろしいのは、特に山形では「結露」です。「結露」は断熱材を入れることで必然的に生じるリスクです。最近では、「外断熱がいい。いや、内断熱の方が優れている。」とかいろいろな声が聞こえてきます。外断熱・内断熱の長所、短所は以前に書いていますので省略しますが…「結露」が起こるのは主に冬で、室外〜壁〜室内の温度・湿度の差によって起こる現象です。室内と室外の壁内、天井裏、床下の空間は基本的に空気が動かない状態で、湿気が入り込まない状態を作ることができれば結露は起きないことになります。北海道・東北地方では、石膏ボードの下にポリエチレンシートを貼り湿気の流入を防ぐ方法も採られるようになりました。ですが、断熱材に関して日本はまだまだ後進国で、とくにヨーロッパの先進国を見習う必要があります。安い家・高い家に関係なく一定の条件をクリアしないと『家』は短寿命になり、一生に二度の大事業を必要とされてしまいます。断熱・気密に関して“ローコスト”という言葉はあってはならなのです。
B.床下のつくりが問題を起こしています
見えないということで、壁内と同様に床下にも問題があります。昔の家はコンクリートの布基礎ではなく束石でした。強度はないけれど風通しが良く床下の環境のためには良かったのです。戦後、住宅は布基礎となり頑丈になりました。しかし、気密が良くなり風通しが悪く、湿気のある土地は最悪な環境になりました。最近では防湿シートや防湿コンクリートを施工しだいぶ改善されてきました。このような箇所では防湿・断熱されているため、シロアリの好む湿気の多い空気のよどんだ箇所は少なくなります。しかし、風通しや配管メンテナンスを真剣に考えた家は多くはないでしょう。
C.隠しごとだらけなのは住宅だけでしょうか?
このように外側から家の本当の状態が確認できないつくりには、問題が多いのです。そして、内側の仕組みもきちんとつくらないと不具合の起こる可能性が結構あるのです。では、このように隠しごとだらけなのは家だけでしょうか?さらにさかのぼってみると、材料自体もよくわからないものだらけです。特に戦後に登場した新しい工業製品(これらを総称し新建材と呼びます)は、外側から見ても原材料や製法を判断できません。石膏ボードを例に見てみましょう。石膏ボードは、その名の通り石膏を紙ではさみ板状にしたもので、火に強く燃えない性質を持っています。政府の不燃化政策にぴったり当てはまる材料だったのです。昔の家の左官壁は、大きな面をつくれる材料がなかったためです。それゆえに発展してきた知恵なのですが、このような材料があれば「壁」は簡単にできるあがるので、瞬く間に普及しました。
D.新しい材料は重化学工業の副産物でした
この便利な建材・石膏ボードは、とても安価です。それは、石膏がタダみたいに安かったからです。石膏ボードに使われている「石膏」は「科学石膏」と呼ばれ、工場の煙突などに取り付けられている大気汚染防止用の排煙脱硫装置などから作られます。重化学工業の副産物を有効利用ともいえます。戦後のほとんどの住宅が、そうした副産物から作られていた新建材を使いできていきました。現在、この石膏ボードを使った住宅が大量に解体されています。しかし、廃石膏ボードの行き場がなく、問題になっています。問題は、表面に塗られた左官材料の分離です。さらに問題なのが、石膏の内容物です。石膏にヒ素や鉛などが検出された例が報告されているのです。そのため現在は安定型処分場で処理していますが、将来、管理型の処分場で処理される可能性があります。
E.手早くつくるための材料が問題となっています
副産物から作られた建材は、石膏ボードだけではありません、一般的な断熱材であるグラスウールもそうです。グラスウールは、廃ガラスをガラスカレットが主な原料です。同じ断熱材でロックウールは、製鉄の過程でできる高炉スラグを主原料としています。これらは副産物の有効利用ですが、見方によっては、住宅が重化学工業の発展のための受け皿にされた、ともとれるのです。この他、戦後に重要されるようになったのが屋根葺き材やサイディング材にも代表される石綿スレートです。これも、「燃えない」「軽い」「安い」ということでよく使われましたが、アスベストの問題が表面化し使用量が減ってきています。このように「速く」「大量に」家をつくるために出てきた建材は、現在問題を抱え込んでいるものが少なくないのです。これらの材料は複合材料であり、石膏ボードと同様に廃棄処分やリサイクルについて課題を残しています。
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バックナンバー
NO.001/エコロジーと住宅:1.人体と住環境との関係
NO.002/エコロジーと住宅:2.自然の恵みの活用
NO.003/エコロジーと住宅:3.断熱と気密の関係
NO.004/エコロジーと住宅:4.内断熱と外断熱
NO.005/エコロジーと住宅:5.床上暖房と床暖房と床下暖房
NO.006/エコロジーと住宅:6.暖房と蓄熱の関係
NO.007/エコロジーと住宅:7.換気
NO.008/エコロジーと住宅:8.土地を選ぶ
NO.009/エコロジーと住宅:9.室内空間
NO.010/エコロジーと住宅:10.木材
NO.011/エコロジーと住宅:11.家づくりの法律
NO.012/エコロジーと住宅:12.家づくりの法律(2)
NO.013/エコロジーと住宅:13.家づくりの法律(3)
NO.014/エコロジーと住宅:14.家を建てる際、考えたい事
NO.015/エコロジーと住宅:15.家を建てる際、考えたい事(2)
NO.016/エコロジーと住宅 16.家を建てる際、考えたい事(3)
NO.017/エコロジーと住宅 17.設計実例 (1)自邸
NO.018/エコロジーと住宅 18.設計実例 (2)中山・I邸
NO.019/エコロジーと住宅 19.設計実例 (3)七浦・N邸
NO.020/エコロジーと住宅 20.設計実例 (4)家'sハセガワモデルハウス“木楽座”
NO.021/エコロジーと住宅 21.設計実例 (5)上小松・O邸
NO.022/エコロジーと住宅 22.設計実例 (7)江俣・S邸
NO.023/エコロジーと住宅 23.理想の家を完成させるには(1)
NO.024/エコロジーと住宅 24.理想の家を完成させるには(2)
NO.025/エコロジーと住宅 25.理想の家を完成させるには(3)
NO.026/エコロジーと住宅 26.理想の家を完成させるには(4)
NO.027/エコロジーと住宅 27.快適に、健康に、永く住むためには
NO.028/エコロジーと住宅 28.間取りを考える
NO.029/エコロジーと住宅 29/間取りを考える(2)
NO.030/エコロジーと住宅 30/間取りを考える(3)敷地形状と建物の関係
NO.031/エコロジーと住宅 31/私が考えるエコロジーとは
NO.032/エコロジーと住宅 32/私が考えるエコロジーとは(2)
NO.033/エコロジーと住宅 33.私が考えるエコロジーとは(3)
NO.034/エコロジーと住宅 34.私が考えるエコロジーとは(4)
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NO.037/エコロジーと住宅 37.私が考えるエコロジーとは(7)
NO.038/エコロジーと住宅 38.私が考えるエコロジーとは(8)
NO.039/エコロジーと住宅 39.私が考えるエコロジーとは(9)
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