山形の設計事務所「廣設計室」

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断熱リフォーム ('06 長崎・K邸)
 
両親の住む築25年の既存住宅に、現在仙台で生活する夫婦+子供2人が同居することになり6人家族へ。寒い住まいから暖かい住まいへ断熱リフォームした事例です。
 
■建築データ
■構造:木造平屋建
■敷地面積:816.3m2
■改装床面積:155.59m2(47.0坪)
■増築面積:9.66m2(2.2坪)
■延床面積:165.25m2(49.9坪)
■主な設備:深夜電力利用蓄熱式床下暖房=22.01kw、追焚フルオート電気温水器=550リットル、IHヒーター
■工期:2005年10月1日〜2006年2月14日

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▼着工前の様子はこちら

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▼完成後はこちらに掲載しています。
「リフォームが再生する家族の記憶、そして新しい暮らしのためのリデザイン。」
 
 
 
■一般的なリフォームの課題
1. 建替えか、リフォームか。どちらが経済的に効率が良いのか?
2. 現状の建物に財産価値があるのか?
3. リフォームしようとするプランに対応できる間取りなのか?
 
■K邸における課題
1. 平屋建てだから構造的にリフォームに対応できるはずだが・・・
2. 軟弱な地盤なので、しっかり鉄筋を入れた布基礎にしたということだが・・・
3. 既存の住宅は縦横3室×3室で9ブロック、楽にリフォームに対応できる間取りのはずだが・・・
4. 秋田杉のきれいな柱を多く使っていたので・・・
以上のことから全面的なリフォームに進めるのではと協議しました。
 
■現場調査・基本設計
1. 基礎は話に聞いた通りベース幅も600mm以上ありそうだし、立ち上りも900mmあり、かなりしっかりしていてクラックは全然入っていませんでした。不同沈下も見あたらず、盛土も切り込み砂利で、地下の状況も良かった。この基礎なら軟弱な地盤でも、平屋建てなら「耐えられる」と確信しました。
 
2. 小屋裏に上って見ました。梁が細い、継手仕口があやしい等問題点がでてきた。しかし今回のリフォームは基礎、柱、梁、屋根だけ残す大規模なリフォームで、天井、壁を総て撤去するのだから補強はさほど難しい問題ではなかった。
 
3. 間取りは2世帯住宅にリフォームしようとした場合、中央の1/3にあたる和室2間+台所のスペースを新しい居間−食堂−台所に変え、これを動線の中心として東側に若夫婦家族の寝室、子供室2室と水回りを配置しました。そして、西側には両親の寝室+和室2間を配置しました。この和室2間は、あまり手をかける必要がありませんでした。中心のLDKからどの部屋にも入れるマンションタイプの間取りになりました。Kさんが頭に描いていた通りにまとまりました。
 問題は、中通りのLDKでした。南側に幅2間(ケン)の大きなテラス戸を設けましたが、中央部から北側は暗くなる、屋根に窓をつける以外方法はありませんでした。3つのトップライトを設け、明るさを確保した。ファーストプランではトップライトの部分のみ屋根を上げるプランだった。どうせトップライトをつけるため屋根をくり抜くのだったら大きな吹抜とロフトも設けようと工事範囲がふくらんだ。結果的に幅2,500屋根をくり抜き、ロフトと吹抜を半分ずつ配置した中間案になった。今回はNEDOの申請があり、増築面積を10m2以内に抑えなければならなかった。南側の両寝室を3尺通り増築して限度近くなった。したがってロフトは面積に入らないように天井高を1,400に抑えた。
 
4. 秋田杉の柱をできるだけ残そうと思って基本設計をスタートしたが、続きの和室が4室あったものを居間・食堂・台所と寝室にリフォームするのだから、最初から無理な発想だったかもしれない。目のつんだきれいな秋田杉なので既存住宅のなごりを居間・玄関の壁に柱を板状にして飾ることにした。
 
■リフォームのグレード
1. 高断熱高気密の暖かい家にしたいと最初からの希望だった。次世代基準のII地域の断熱仕様は当然クリアしなければならない。最後まで迷ったのは暖房を床上にするか床下にするかだった。コストのことを考えるなら床上だった。既存骨組みを残しながらの床下暖房の蓄熱層を造る工事は新築工事に比べ数倍金がかかるためだ。結果的に費用より快適性を選んで床下暖房にした。

2. 断熱リフォームをするとおのずと耐震リフォームにもなった。外壁下地は構造用合板を貼り、耐力壁となった。間仕切りは筋違いも設けて平屋建のK邸は十分な耐震補強となった。

3. 小屋組の補強は現場調査にもとづいて図面化していたが構造設計の専門家と現地で協議して決定した。細い梁を太い梁に入れ替えなければならない個所は全体の50%以下で、その他は既存の梁を2’×12’(ツーバイトゥエルブ)(38×289)ではさみ込み、ボールトで柱、梁にぬって補強した。

4. 土台廻りの腐れを心配したが解体しないことにはわからない。解体してみると予想どおり浴室廻りはやられていた。しかし白アリの害はなかった。

今回のリフォームは骨組だけを残す大規模なリフォームだったが、今後いろいろなリフォームが発生すると思う。大切なのは新築でもリフォームでも長寿命な住宅とし、愛着を持ち続けて住むことではないでしょうか?

 

 
■現地調査
 
基礎状態チェック(1) 1.基礎状態チェック(1)
基礎状態チェック(2) 2.基礎状態チェック(2)
基礎状態チェック(3) 3.基礎状態チェック(3)
小屋裏状態チェック 4.小屋裏状態チェック

 
■着工前の様子
 
道路からのアプローチ 1.道路からのアプローチ
建物南側 2.建物南側
屋根・軒天形状 3.屋根・軒天形状
建物東側 4.建物東側
和室8帖西側(1) 5.和室8帖西側(1)
和室8帖西側(2) 6.和室8帖西側(2)
便所東側 7.便所東側
浴室 8.浴室
和室6帖・洋室8帖東側(畳取外し後) 9.和室6帖・洋室8帖東側(畳取外し後)
台所・食堂 10.台所・食堂
床下(1) 11.床下(1)
床下(2) 12.床下(2)

 
■工事日記(ナカムラヒラシのノートより)
 
10月11日(火) 10月11日 (火)

長崎・K邸のリフォーム工事がいよいよスタートします。今日は着工前のお払いをクライアント、私、施工業者の中村建築が出席して行っている様子です。
10月15日 (土) 10月15日 (土)

増築部分、基礎の床堀りの様子です。切り込み砂利で比較的よい地盤です。既存基礎が深くてそれに合せるため深く掘っています。
10月16日 (日) 10月16日 (日)

10月15日の内部天井・壁の解体の様子です。テレビで放映しているビフォーアフターのように解体作業をしていますが、K邸の解体はもう少しいたわって丁寧に解体しています。
10月21日 (金) 10月21日 (金)

昨日で、壁・天井の解体が大体終わりました。今日は構造計算屋と既存骨組の補強方法を打合わせしている様子です。天井裏にもぐりこんで図面に落とし込んではいたのですが、なにせ断熱材はあるし、狭いし、推測の部分がありました。今日は図面どうりで良いのかを検討しています。これで骨組の補強方法は決定です。
10月28日 (金) 10月28日 (金)

1階の床も解体が終わり土をほりだしている様子です。堀り出した土の上に防湿シートをしいて断熱材をしいて蓄熱層を造ります。
10月29日 (土) 10月29日 (土)

木材が中村建築の作業場にはいってきました。写真は下屋の梁に使用する木材で金山杉です。
11月8日 (火) 11月8日 (火)

土間下の断熱材と束石が終わっている様子です。新築工事ではいつも簡単にやっていることですが、リフォームとなると出来上がっている建物のなかで作業になります。壊せないので全て人力になるので大変です。
11月9日 (水) 11月9日 (水)

昨日(11月8日)は、南側増築部分の建て方でした。今回の増築は、この部分の3尺通りだけです。あとはすべてリフォームになります。
11月11日 (金) 11月11日 (金)

外壁の軸組が始まりました。気密シートの上(外側)に構造用合板を張って耐力壁にします。普通、外断熱工法の場合は気密シートは省略しています。が、ここが大事なのです。長い時間をかけ、軸組は少しずつすき間があいてくるはずです。気密シートは内断熱工法ばかりでなく効果を発揮します。
11月12日 (土) 11月12日 (土)

11月11日に施工した、構造用合板の内側に貼られた気密シートの様子です。既存柱の両側には補強材が釘うちされています。
11月13日 (日) 11月13日 (日)

11月11日に施工した、構造用合板から50ミリふかして断熱サッシがつきました。50ミリが外断熱材ネオマフォームの厚みなのです。
11月15日 (火) 11月15日 (火)

蓄熱式床下暖房のシーズヒーターを敷設している様子です。このヒーターでこの住宅全体を暖めます。深夜電力が入り蓄熱する時間は、PM11:00〜AM7:00までの8時間です。他に5時間のヒーターもあります。
11月16日 (水) 11月16日 (水)

外壁の構造用合板の上に断熱材のネオマフォームを貼っている様子です。ネオマフォームはウレタンフォームの様に黒煙を出して燃えない、ボード状断熱材の中では安全な材料です。厚さは50ミリですが、断熱性能はほぼグラスウールの100ミリに匹敵します。タイベックシートで断熱材の外側をラップします。タイベックシートは、外部からの防水と内部の湿気を出すという優れ者なんです。
11月19日 (土) 11月19日 (土)

南側の下屋の木工事が完成しました。金山杉がきれいで今日はクライアントのKさんが現場視察に見えられました。
11月22日 (火) 11月22日 (火)

外まわりはかなり出来ましたが、内部は蓄熱層が終わったばかりで大工工事は今日からです。新しい柱・梁を入れ替えている様子です。既存の梁をサポートしながら、すべて人力で入れ替えます。古い梁の寸法を受けながら加工していく、この工事で最も大変かもしれません。
11月25日 (金) 11月25日 (金)

梁・柱の入れ替えに続き、床面積に入らない程度のロフトの部分の屋根のかさ上げです。屋根をくりぬき柱・梁・垂木を組んでいる様子です。天井高1400(ミリ)以下のロフトは床面積に含まれません。それに既存屋根の勾配では雨漏りの心配がありトップライトをつけることができません。この部分は居間・食堂の上でサンサンとふりそそぐ太陽光が欲しいスペースです。そんな複合的な理由で既存屋根の一部分をくりぬき急勾配の屋根をつけました。
12月5日 (月) 12月5日 (月)

1階床組ができました。根太レス合板t=28の厚い合板を3尺×3尺の大引きに釘で固定していきます。床下暖房なので根太が狂われるのが心配だからです。
12月5日 (月) 12月7日 (水)

南側下屋の下のコンクリートを打設しました。これでコンクリート仕事は大体終わりです。寒くなるとコンクリートは凍結しないように養生したり、温度補正したり神経を使います。
12月10日 (土) 12月10日 (土)

床の構造用合板をしいて、次の作業は天井組になります。天井は石膏ボードt=9.5ですがその下地を組んでいる様子です。今日は施主のKさんが現場を視察にいらしゃいました。1日雪降りでとても寒い日でした。
12月14日 (水) 12月14日 (水)

外壁のサイディング貼が始まりました。t=12のセメント系サイディングです。汚れのつきにくいフラット版でH=455の目地なしとシンプルなものです。サイディングというと収縮で目地にクラックが心配ですが、実績のあるメーカーの製品です。
12月15日 (木) 12月15日 (木)

ロフトの手すり・床の下地の作業の様子です。吹き抜けにあるトップライトのおかげで明るいロフトになりそうです。
12月20日 (火) 12月20日 (火)

外壁のサイディング張りが終わり、目地のシーリングの様子です。サイディングのジョイントからの水漏れを防ぎます。例え漏ったとしても外壁の中の通気層とタイベックシートで防ぎます。二重にバリヤーしています。
12月28日 (水) 12月28日 (水)

大工さんが違う現場の建前でしばらく現場を空けていて、昨日からまた入りました。天井の気密シートを野縁に留めて石膏ボードを張っている様子です。この上に断熱材のグラスウールをブローイングします。
12月30日 (金) 12月30日 (金)

ロフト部分のグラスウール充填と気密シート貼の様子です。今日はKさんも今年最後の視察に来られました。大工さんも明日31日から来年1月5日まで休みに入ります。
1月7日 (土) 1月7日 (土)

昨日より仕事始め。床のフローリング貼りから始まりました。
1月10日 (月) 1月10日 (月)

集中換気の配管が去年のうちにほとんど終わっていました。一部、未工事部分を完了しました。
1月11日 (水) 1月11日 (水)

今日は気密測定です。通常より大分早いです。天井のブローイングはまだですが、気密シートですっぽり囲んだ状態になりました。新築と違い思わぬところから空気が漏れていることがわかりました。例えば、柱のほぞ穴あたりから……。早く測定したことで、仕上る前に補修する事ができて正解でした。
1月14日 (土) 1月14日 (土)

今年初めてKさんが来所されました。現場はフローリング貼りがほぼ終わり壁の下地に移ってきました。今日は内装材や、その他の色を決めて頂きました。
1月18日 (水) 1月18日 (水)

窓枠、出入り口枠がつき壁下地のボードを貼り始めました。大分形がみえてきました。
1月23日 (月) 1月23日 (月)

撤去した柱を板状に加工し壁に貼りました。古い住宅への愛着を考えましたが、どうしても抜かないと納まりつかない柱でした。この古い柱ときれいな秋田杉の柱をt=30に加工し、居間・玄関・ホール3箇所の壁に、壁面より少し浮き出るように取り付けました。
1月24日 (火) 1月24日 (火)

木工事も残りわずかとなってきました。壁(ボード)を貼る前に、造付家具が嵌め込まれます。写真は玄関の造付ベンチを嵌め込んでいる様子です。
1月25日 (水) 1月25日 (水)

ロフトに上がる階段を取付けている様子です。ロフトに上がる手段としてハシゴか階段にするか大分迷いましたが、階段になりました。通常の階段のように勾配を緩くすると面積を多くとるし・・・。考えたのが写真のような互い違いの踏面を持つ階段です。図面で表現することは、難しかったのですが大工さんはよく理解してくれました。
1月30日 (月) 1月30日 (月)

ロフトの下地ができました。ロフトの部分は、既存の屋根を破り上に上げています。しかし天井をH=1,400に抑えているので床面積には入りません。Kさんの趣味のスペースと収納に使う予定です。同時にロフトのない部分は、吹き抜けになっていて居間・食堂に太陽の恵みを落としています。
1月31日 (火) 1月31日 (火)

和室に掘りコタツをつくりました。既存の敷居を加工して炉縁にしました。熱源はシーズヒーターのみでOKです。電気ヒーターとか特別必要ありません。
2月1日 (水) 2月1日 (水)

木工事が今日で終わります。次の作業、内装工事に移ります。クロス貼りの前に木部の塗装をしています。人に無害な植物油をぬっています。
2月6日 (月) 2月6日 (月)

ウッドデッキが完成しました。居間の2間のテラス戸の前の部分です。内部から見ると居間の内部とウッドデッキがつなっがて見えます。
2月7日 (火) 2月7日 (火)

ポーチが完成しました。既存の骨組の上に仕上げはすべて新しくなりました。ただ柱だけは黒い塗装が隠せなく黒く再塗装しました。
2月8日 (水) 2月8日 (水)

内部もそろそろ完成に近づいてきました。クロス貼ももう少しです。今日電気が入りました。そして、シーズヒーターが暖房を開始します。
2月15日 (水) 2月15日 (水)

建具工事、設備機器の取り付け、ハウスクリーニングも終わり今日は竣工検査です。いままで養生していて見えなかった床やピカピカにみがかれたガラスなどいっきにきれいになりました。2月18日・19日に見学会を開き、2月20日・21日で引越し。そしてKさんに引き渡されます。
 
▼完成後はこちらに掲載しています。
「リフォームが再生する家族の記憶、そして新しい暮らしのためのリデザイン。」
 

 
■熱損失計算
 
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熱損失係数(改修前)
熱損失係数(改修前)
 
熱損失係数(改修後)
熱損失係数(改修後)
 
 
開口部の熱損失(改修前)
開口部の熱損失(改修前)
 
開口部の熱損失(改修後)
開口部の熱損失(改修後)
 
暖房用灯油消費量計算書(改修前)
暖房用灯油消費量計算書(改修前)
 
暖房用灯油消費量計算書(改修後)
暖房用灯油消費量計算書(改修後)
 
 
 
 
 
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