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江南・M邸
■A.幅3間(ケン)の引き込み木製ガラス戸の開放感
Mさんの要望によ南側の庭との間に大きな開放の出来る建具が欲しいという項目があった。私自身好きなディテールであるが、今までは断熱性・気密性を考えると尻込みしていた。しかし、今回はアルミサッシメーカーと建具店の協力を得て試作することにした。
幅1,800の建具が3枚戸袋に納まるとなんともいえない開放感がある。しかし、建具1枚の重量は100kgを超えた。閉まった状態での気密性の問題と開閉の際に感じる重さはうまく解決することが出来た。幅3間の引込戸の外にはウッドデッキを設け、外部空間と内部空間との中間の領域をつくった。
■B.住宅と車庫の一体化
最近ではアルミ製のカーポートが主流になっている。しかし、住宅とのバランスが取れていない家が多い。今回、工事費は割高になるがMさんの了解をもらい木造の棟続きとした。
車庫は庭の目隠しと土留を兼ねている。土地が120坪と広く車庫を設けても、南側に庭と家庭菜園のスペースが確保できた。将来、増築も可能であることを確認した。
■C.Q1住宅
Q値とは熱損失値をいい、Q1住宅とは、北海道のような寒冷地でQ値が1.0の住宅をいう。しかし、山形の気象条件ではQ値と日射取得係数のバランスが必要であるはず。この住宅のQ値は1.25W/uK、開口部の日射取得係数は8.03である。
この住宅には集中換気システムに熱損失の少ないスティーベル社の第一種換気装置を設置している。
■D.オープンな間取り
南側に居間・食堂と和室、どうしてもつなげたかった。結果、玄関から直接居間に入ることになった。「来るだけオープンに」という点でMさんと私の共通点があった。しかし、子供室が2階に上がってすぐのところに間仕切りを設けずただの広間とした。最近の学校にみられるオープンスペースの教室みたいだ。Mさん家族が入居してからどう使うのかが非常に楽しみである。
「子供は小さい時は食卓で、少し大きくなると少しプライベートなスペースで勉強すると頭の良い子供が育つ」とTVで聞いたが、M邸はテストケースになるかもしれない。
■建築データ
■構造:木造2階建
■敷地面積:389.90m
2
( 117.9坪 )
■延床面積:179.57m
2
( 54.3坪 )
■住宅−144.45m
2
( 43.69坪 )
■車庫− 35.12m
2
( 10.62坪 )
■建築面積:136.63m
2
■主な設備:深夜電力利用蓄熱式床下暖房 11.38kw
追焚フルオート電気温水器 370リットル
IHヒーター(システムキッチン)
集中換気システム(第一種)
1.車庫と一体になった住宅
車庫は、住宅の目隠しの役目を担います。
2.道路側の住宅部
玄関には、車庫からも出入りも出来るように階段を付けました。そして、一段上がった客間からは植込みで視線を遮れるようにしています。
3.南側外観
この南側の窓たちは、パッシブソーラーの役目を大いに果たしてくれるでしょう。
4.車庫を敷地の奥から見ると
車庫の格子が道路からの視線を遮っているのが良くわかるかと・・・
5.居間・食堂の南側開口部(外)
どど〜んと大きく3間の開口。製作引込戸で・木製戸袋の中に全て収納でき、それはもう開放的!
6.居間・食堂の南側開口部(内)
引戸を全て開けると、ウッドデッキも居間の一部になります。
7.居間と吹抜と客間
建物の東西に間仕切を設けず一体にすることで、吹抜の空間を中心に全てがつながります。こんなに開放されても寒くありません、暖っか住宅です。
8.食堂・台所(1)
食堂の壁には台所まで続く壁面収納を設けました。
9.食堂・台所(2)
システムキッチンですが、エンドパネルを木製にすることにより違和感のない空間へ。
10.吹抜(1階より見上げる)
11.吹抜(2階より見下ろす)
12.本棚
2階に上がるとすぐ本棚、これは家族全員で使う。手前は子供室、部屋と廊下を間仕切らずに一体とした。
13.アトリエ
本棚を通り過ぎるとアトリエに、ここは家族全員の机。ご主人の書斎スペース・奥さんのワークスペース・子供の学習机にもなったりします。
14.第一種換気
住宅の24時間換気をこの機械で。「第一種換気」という機械給気・機械排気のタイプで、この換気本体では熱交換もおこなわれます。
熱損失係数計算結果
※画像クリックで拡大します。
暖房用灯油消費量計算書
※画像クリックで拡大します。
月別の電気料金
※画像クリックで拡大します。
クライアントの声 〜サステナブル住宅についての実感〜
(1)冬の室内の暖かさ
●2008年11月末で入居2年、3回目の冬を迎えようとしているが、とにかく暖かくて快適である。
●1Fと2Fにエアコンを設置したが、2Fは未だ一回も使用した事が無い。1Fもほとんど使用しない。1Fは家族の誰かが体調不良の時や、極端に寒い日など、使用頻度は少ない。
●初年度の冬は床暖の初体験という事もあり温度を上げすぎ、真冬でも室内では半袖、半ズボンで十分に生活できる状況であった。冷え性の妻も大満足であった。
●2年目の冬は、初年度を反省し、省エネに徹した。初年度の床暖設定温度データーを参考に、必要最低限の低設定にして、きちんと衣服で調整するよう努力した。当然、初年度よりも電気代が少なくなった。
●不便なところも少しある。従来の貸家では、飲み物や果物や野菜などは玄関において置けばよかったが、新築の玄関は比較的暖かいので、食物の傷みが早い。飲み物も冷蔵庫に入れないと冷えない。
●室外の温度が低くても、天気が良ければ、リビングからの日差しで、室内はポカポカです。断熱住宅のお陰か、日中に天気が良い冬は、夕方や夜は室内は暖かい傾向にあります。
(2)夏の室内の涼しさ
●冬と同様に1F、2Fのエアコン使用頻度は少ない。ほとんど使用しない。
●風通りが良いので体感気温が低いと思われる。
●リビングの窓から入る日差しを最大限にシャットする事で、2008年夏は、1度もエアコンを使用していない。
●吹き抜けのお陰か、ある一定の空間に熱がこもる事が少ないようであるし、天窓を付けたお陰で、上部の熱を逃がす事が出来、相乗効果がある。
(3)省エネルギー
●旧住宅と比較し、別シートのように年間4、5万円の光熱費削減となっている。これから原油高になる事を考慮すると、床暖房などの初期投資は十分に早い時期に回収できる。かつ、快適な生活ができるので一石二鳥である。
●夜間深夜電力割引の為、妻はタイマーを有効利用して、洗濯や食洗機を深夜に使用する事によって、更なる経費削減に努めている。
●オール電化の為、幼少の子供2人の生活が安全であり、比較的安心して、子供を置いて家を離れる事ができる。
●全部屋、オープンな空間にしている為、各個人が個室にこもって活動する事が無いので、照明の為の使用電力量も少ないと考える。例えば子供はリビングで勉強するし、私もリビングで仕事をする。
●リビングや和室の大きな窓のお陰で、夕方も明るく、旧住宅よりも照明する時間帯が遅くなった。
●熱帯魚を飼っているが、冬暖かく、夏涼しいため、水槽のヒーター作動時間が少ない。また、夏の水温が旧住宅では33℃付近まで上昇するが、今は上昇しても28℃である。熱帯魚の快適な水温が26℃であるから。人間だけでなく魚も快適である。
(4)環境保全/サステナブル
●LPGや灯油などの化石燃料使用が直接的には無い為、CO2削減にはなっていると思う。
●旧住宅よりも庭や畑などあるいは水槽中の水草など、CO2を吸収しO2を出す生き物との関わりあいが深くなった。
(5)その他
●第一種換気のお陰か、室内に臭いがこもりにくいし、換気によって寒くなる事は無い。
●冬、洗濯物がすぐ乾く。
●光熱費に関心が強くなり、余計な照明を付けなくなった。
●光熱費のデーター入力が楽しく、前年度より、あるいは前月より、いかに節約するか、趣味っぽくなってきた。
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